Fallen Islandの雑多な記録置き場。脳内妄想垂れ流しにつき、取扱注意。
Wed 18 , 00:47:09
2007/07
■◆■◆■◆■◆■◆■◆■【禁忌】■◆■◆■◆■◆■◆■◆■
「私」が他の子と違う事に気が付いたのは、小学校五年生の林間学校だった。
その年になれば、早い子であれば女としての体の成長が始まっている子もいる。
それまではそんなに意識はしていなかったけれど、クラスの中でもとびきりの美少女で、白い肌がまるで人形のように愛くるしい彼女。
そのしなやかな曲線を帯び始めた体を、入浴の際に目にしたその瞬間。
「私」の中で、その気持ちが産まれた。
透き通る様な肌、細い指先、いつも誰かに縋る様に見上げるその瞳。
いつのまにか、幼いながらも私の心は暗く不純な劣情で満たされていた。
彼女を独占…いや、獣の様に蹂躙し、征服したいとさえ思っていたかも知れない。
「ルール」からは外れている事は知っていた。
「親友」と言うラベルを貼った級友に打ち明けたこともあるが、それが原因で私は「いじめ」にあった。
それでも「彼女」は変わらず私に優しく接してくれた。
級友達にトイレの個室に閉じ込められ、ホースで水をかけられ、全身を雑巾やモップで擦られた。
私は汚いのだそうだ。
きれいな「彼女」に近付く事は許されないのだそうだ。
誰もいなくなったあと、トイレの片隅で汚物の様に醜くなった私の元へ彼女が駆け寄ってきて、「誰にやられたの」「かわいそう、かわいそう」と慌てながら、花の刺繍が入ったハンカチで私を拭ってくれた。
そうか、「彼女」も私の事を
そう思った瞬間、頭の中で光が弾けた。
記憶はそこまでしかない。
そして私は、人生初にして最大級に淫らな罪を犯した。
我に戻ったのは、教師達に引きはがされ、冷たいタイルの床に頭をしこたま打ち付けられてからだ。
衣服をはだけ、手首には私が握りしめた痣、体のいたる所は私が歯を獣の様にたてた痕を残し、それでも彼女はいつもと同じ目で私を見ていた。
「かわいそう」
…ああ、あの目は違うのだ。
あれは、誰かを籠絡させ、地に墜とす魔女の淫らな目なのだ。
誰かの為ではなく、己の忠実な僕を取り込む為でしかない。
さしずめ私は、気まぐれで歪んだ愛情を押しつける為の醜いペットの役であったのだろう。
それから数年。
私はこんな想いをする事はないと思っていたのに。
新しく出会った「彼女」が、私の中の獣を呼び覚ました。
小さな体。
華奢な手足、薄い胸。
血管の浮く白い肌。
蠱惑的な瞳。
そして、獣である私にしかわからない、雌の色香。
それらは私の中に眠っていた獣欲を呼び覚まし、少しずつ少しずつ、甘い毒で狂わせていった。
彼女に想い人がいる事を知り、嫉妬の炎で心を焼く夜もあった。
だけど、身近な場所に彼女の恋敵がいたのだ。
そうだ。
このまま彼女を他の男に奪われるくらいなら、どんな汚い手を使ってでも、彼女の恋敵とあの男を結ばせればいいのだ。
この年頃の男女なんて簡単だ。
盛った獣欲をいとも簡単に純愛だと勘違いする。
いくらでも焚きつければいい。
そして私は彼女の側にいる良き相談役、傷をなめる忠犬、外敵から守る守護者であろう。
なんだ、簡単な事じゃないか。
キズナ…、誰にも渡さない…
■◆■◆■◆■◆■◆■◆■【違う星空の下で】■◆■◆■◆■◆■◆■◆■
この頃、戦闘の「兆し」と共に記憶を無くす。
以前敗北した相手に、再戦の際に勝利を収めた時。
今、連戦している相手はその二戦とも。
おなかの奥が熱くなったと思った次の瞬間にはもう、あいては血みどろで地面に倒れ伏していた。
あの時と同じだ。
私が全てを捨ててしまったあの日と。
■◆■◆■◆■◆■◆■◆■【抱擁】■◆■◆■◆■◆■◆■◆■
ホルスに
とつぜん
だきしめられ
ねどこにおしたおされた
…頭は真っ白だった。
心臓が早鐘の様に高鳴り、喉がからからに渇いて言葉も出なかった
二度、息を呑み
かすれた声でホルスの名を呼んだ
返答はない
ただ、首筋に強く唇を押し当てられているだけ
触れられた点がマグマの様に熱い
もう一度名を呼ぶ
やはり返答はない
私は覚悟を決め、そっと四肢の力を抜いた
その瞬間
私の体の上にのしかかったホルスは、すやすやと寝息を立て始めた…
私は二度、瞬きをし
三度息を呑み
大きく溜息をついて
一人でクスクスと笑い
ホルスの頭をギュッと抱きしめた
夜明けはもう近い。
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