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Fallen Islandの雑多な記録置き場。脳内妄想垂れ流しにつき、取扱注意。
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Thu 12 , 12:11:30
2007/07
あたたかい腕、広い胸に抱かれて眠る。
そんな夢を見た。
果たされない願望、焦がれ。



男の人の匂いがする。
夏目先輩と同じ、ちょっとの汗と絵の具とカビ臭い美術室の匂い。
それらが混じったような、不思議で切ない匂い。


他の誰かの様に、私は決してそこに抱かれる事はなかった。
ならば、せめて夢の世界でだけでも。
ただ一度きりの、はかないうたかたであったとしても、そんなささいな「願望」くらいは満たしても良いじゃないか。

その胸に深く深く顔を埋め、胎児の様に丸くなって眠り続けた。


====================

「キズナ。アリアス像の前髪の立体感はね…」
「髪の影と肌に落ちる影は違う。モチーフの材質と、影の温度を区別するんだ」


…智佳子と和尚の付き合いで仮入部したのが、うちのクラスの担任でアフロヘアーの獅子先生が顧問の美術部。
そこで1学年上の夏目先輩に出会った。


年のわりに達観していて、獅子先生には「仙人か」なんて言われていたけど、どんな事であっても、ただいたずらに否定せず、本質を見極めようとし、話しかける時には必ずあの声で私の名を呼ぶ。

だから、すぐに好きになった。
年頃の娘の様なはしゃぎかたこそしなかったけれど、私の心はその想いで確かに満たされていた。


====================
…朝の陽射しが降り注ぐ。
寝ぼけまなこで見上げたその顔は… 夏目先輩ではない。

ホルス。

誰にも必要とされず、誰からも与えられず。
ただただ、なけなしの幸福を…偽りの安寧を奪われた私を、この世界で初めて必要としてくれた人。

あの人と同じ声で私の名を呼ぶ人。
そのたびに私の心は苦い痛みと共に、甘い雫を垂れ流す。

甘い蜜は毒。

その毒はそっと私の記憶を蝕み、全てを忘れさせるかの様に甘い幻想を見せる。
いやだ、忘れたくなんか無いのに。

…そんな事を夢見心地に想いながら、私はその腕に包まれてもう一度眠った。






しばしの休息。
目覚めればまた「ルール」に強制された戦いが始まる…
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