Fallen Islandの雑多な記録置き場。脳内妄想垂れ流しにつき、取扱注意。
Sat 21 , 01:00:10
2007/07
■◆■◆■◆■◆■◆■◆■【禁忌】■◆■◆■◆■◆■◆■◆■
焦げるような想いを抱き、私は煩悶とした日々を過ごした。
それは火箸の如く狂暴に、私の胎内を掻き回す。
小さく掻き、乱暴に貫く。
その度に私の芯は、苦く痺れる毒を噴き出した。
もし私の肉体に、荒々しい牡の器官が具わっていたならば、今度こそ私は淫らで、破壊的で、ただひたすらにひとりよがりな獣欲を満たしただろう。
尖った欲望で刺し貫き
とめどなく滲み出る毒を注ぎ
血生臭くすえた匂いのする空気に身を震わせ
歓喜の詩を高らかに吠えたける
キズナ
滴る甘い蜜
夢か現わからない世界で
私は手も足も腐れ落ち
目玉も潰され
芋虫の様に這い蹲り
キズナの垂らす蜜を舌で舐め取りながら幾千、幾万の果てまでも愚鈍な行進を続けるだろう
だから私は
あの男に、「キズナの親友」のふりをして
嘘を付いた
「いやらしい目で見ないで欲しいと言っているから」
…違う。
いやらしいのは私だ
親友なんかじゃない、ただの獣だ
キズナのを愛欲の対象としてでしか見ていない
例えいつかは淘汰されてしまうとしても
出会った頃のあのまっすぐな
透き通った水の様な気持ち
友情に限りなく近い恋慕
流行熱の様にいつか冷めてしまうとしても
それは決して
今の様に
汚物の様に濁って
腐臭を放つ物ではなかったはずだ
いつから狂ってしまったのだろう
いつから違えてしまったのだろう
その夜、私は泣いた
獣の様に
女の様に
赤子の様に
ただひたすらに嗚咽をあげた
長い休みが明けたら
キズナに謝ろう
それまで私は罪の意識に潰され
心がねじ切れる様な痛みを受け入れよう
それは罪と罰
許されないとしても
贖いの為に
頭を垂れ
裁きを受けよう
■◆■◆■◆■◆■◆■◆■【罪と罰 一人目】■◆■◆■◆■◆■◆■◆■
×××××ッ!
ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああアアアッツ!
出会い頭に一閃
踏み込みが甘く、両の目玉を軽く引き切っただけ
狂った様な叫び
戦きの声
許しを請う祈り
いずれも私の耳には届かない
裏切りには制裁を
罪には罰を
頭を抑え付け、皮膚を裂く
二度 三度
百を超える頃
刃が欠け、血と脂にまみれ、制裁の勢いが衰える
刃を付け替える
再び百度
腕に
太股に
背中に
次々と赤い花を咲かせる
あはは
きれいだ
お前の心はあんなにも醜く
「親友」と言うモノですらいとも簡単に陥れるのに
お前の血と肉はこんなにも美しい
狂い咲け
お前が人である証明を狂い咲かせろ
そして…■ねッ!
■◆■◆■◆■◆■◆■◆■【違う星の下で】■◆■◆■◆■◆■◆■◆■
…わぁぁぁッ!
私は跳ね起きた
夜
星が瞬く
この島の夜空は怖い
私にとっての空は
高い塔に切り取られた狭い空
醜くずたずたになった断片
幽かな星の瞬き
それが全てだ
だから、満天に広がり
天と地すらも錯覚する様なこの星空を、この島に来て初めて見た時
私は孤独と恐怖で泣いた
その時、そっと側にやって来て
私の袖をつかみ
ずっと側にいてくれたのがホルスだ
戦いの時、挫けそうになる心を裂帛の気合いでつなぎ止めてくれるのはリョウコさん
二人とも私にはかけがえのない存在
たしか
私にはそんな人達がかつていてくれた気がする
でもそれは遠い遠い記憶
私が生きたあの世界は
進んだ科学の力と
衰えた人類種の余命を秤にかけ
どんな場合でも生命を終える事は許されない
死刑も自殺も安楽死も禁じられている
頭が半分に割れても
腹から下を失っても
考え得る限りの全ての延命措置を以て、生きながらえさせられる
最悪、社会福祉と言う名の投薬実験にだって使えるからだ
不治の病と判断されれば
体が病魔に冒し尽くされる前に
永い永い眠りにつかされる
大量に人を殺し
どんな年月をかけても罪が購えないとなれば
それでもその犯罪者の命が持ちうる可能性は貴重なものなので
やはり永い眠りの世界に突き落とされる
睡眠刑 120年
それが私の犯した罪に対する罰
同じ様な刑に服した人間は世界でも数百人いるらしい
ただ眠るだけなのだからそれは罰ではないと
宗教家を名乗る狂人が議会で反対した
世界各地でも人道者を名乗る輩が騒ぎ立てた
ここではないどこかで
自分のものではない命の事を
さながら映画の結末を議論するシネマフリークの様に
だがしかし
幾百、幾千の月日を越え
目覚めたそこは
今ではない、いつか
ここではない、どこか
身よりの無い世界に放り出される
とても残酷な刑
もしくは世界が戦争で滅びれば
覚醒処置に失敗すれば
結果として私は目覚めない
そして死を迎える
はたしてここは夢の中なのだろうか
それとも120年の刑が終わった後の世界なのだろうか
突然不安になり
辺りを見回す
やはりリョウコさんは安らかに寝息を立てている
ホルスは寝床にいない
心臓が脈打ち、肌がざわめく
大切なものを失う事への恐怖に、親を見失った幼子の様に辺りをきょろきょろと見回した
遠くの岩の上にホルスがいた
少し深く険しい顔をして空を見上げている
だが、私は己の気持ちを抑える事が出来ずに駈け出した
今日が10日目の夜
終わらない事への恐怖もあるが
終わってしまう事への恐怖もある
この孤独な震えを癒そうと
私は
駆け出し
驚く顔のホルスに飛びついた
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